MCA仕様書


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 2020年にMCA (Multicore Association)が解散した後、一部の仕様書類は組込みマルチコアコンソーシアム (EMC) に寄贈されました。本ページではそれらの仕様書類をWikipediaにおける解説と共に公開しています。

 Wikipedia: https://en.wikipedia.org/wiki/Multicore_Association (referred on June 9, 2021).

 

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●MCAPI V2.015

 

 2008年、Multicore Communications API (MCAPI) ワーキンググループは、MCAPI と呼ばれるMCA最初の仕様をリリースしました。 MCAPIはメッセージパッシングAPIであり、組込みシステム内の比較的近距離に分散する要素(チップ上の複数コアや回路基板上の複数チップ)間に必要な通信と同期の基本APIを提供します。MCAPIは複数次元の不均一性 (heterogeneity) に適用可能です。不均一性の例としては、プロセッサコア、インターコネクトファブリック、メモリ、オペレーティングシステム、ソフトウェアツールチェーン、プログラミング言語などがあります。

 

 2011年、MCAPIワーキンググループはMCAPI2.0をリリースしました。拡張バージョンでは、ルーティング用のドメインなどの新機能が追加されています。 MCAPI2.0は、「ドメイン」の導入により、ノードネットワークに対してある階層レベルを与えることができます。ドメインは、例えば特定チップ上のすべてのコアを表現する、あるいはトポロジをパブリックエリアとセキュアエリアに分割するなど、実装固有のさまざまな用途に使用できます。 また、MCAPI 2.0は新しく3種類の初期化パラメタ(ノード属性、実装固有の構成、初期ネットワークトポロジや実行中のMCAPIバージョンなどの実装情報)も追加しています。 MCAPI WGは、Sven Brehmerが議長を務めています。

 

 

ダウンロード
●MCAPI V2.015 Specification
MCAPI_Version2015_Final.pdf
PDFファイル 1.1 MB
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●MCAPI V2.015 Reference Card
MCAPI_Reference_Card.pdf
PDFファイル 279.2 KB

 

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●MRAPI V1.0

 

 2011年、Multicore Resource Management API (MRAPI) ワーキンググループは最初の仕様をリリースしました。 MRAPIは、アプリケーションレベルでの基本的なリソース管理機能を記述するための業界標準APIです。(1)個々のタスクまたはプロセッサ専用に割り当てられるほどの十分なリソースがない、あるいは(2)(プログラムライフサイクルフェーズにおける)ランタイムシステムがリソース共有を調停するための統一的に利用可能な機構を提供しない、といった状況下において、マルチコアアプリケーションがシステムリソースへの調停された並行アクセスを可能にするため、MRAPIを使うことができます。MRAPIはSMPとAMPの両方の組込みマルチコア実装に適用できます(ここでAMPとは、ソフトウェアとハードウェアの両方の点におけるヘテロジニアスマルチプロセッシングを指します)。 MRAPIは、MCAが提供する他のAPIと組み合わせ、アプリケーション実装、あるいはフル機能のリソースマネジャ実装やその他の階層化サービス実装のため、有用なツールとなり得ます。 MRAPI WGはJim Holtが議長を務めました。

  

ダウンロード
●MRAPI V1.0 Specification
mrapiV1000_11-15-10.pdf
PDFファイル 1.1 MB

 

 

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●MTAPI V1.0

 

 2013年、Multicore Task Management API (MTAPI) ワーキンググループは最初の仕様をリリースしました。 MTAPIは、ホモジニアスおよびヘテロジニアスプロセッサコアを有する組込み並列システム上でのタスク群の効率的動作を支援するAPIの標準仕様です。 MTAPIの主たる機能は、ランタイムスケジューリングとプロセッサコアへのタスクマッピングです。 MTAPIは動的なふるまいを表現でき、マルチコアシステムのスループット最適化を目的としています。このことは、ソフトウェア開発者による、レイテンシと公平性に対するタスクスケジューリング戦略の改善を可能にします。MTAPI WGはSiemensのUrs Gleimが議長を務めました。

 

 

ダウンロード
●MTAPI V1.0 Specification
MTAPIv1_Final.pdf
PDFファイル 778.2 KB
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●MTAPI V1.0 Nutshell
MTAPI_Nutshell.pdf
PDFファイル 394.1 KB
ダウンロード
●MTAPI V1.0 Reference Card
MTAPI_refcard.pdf
PDFファイル 459.4 KB

 

 

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●MPP

 

 2013年、Multicore Programming Practices (MPP) ワーキンググループは、マルチコア向けプログラミングにおける課題理解および設計の一貫性向上のため、業界向けにマルチコアソフトウェアプログラミングガイドを提供しました。MPPガイドは、マルチコアプログラミングに取り組んでいるエンジニアに正しい価値判断の目安を与えるため、C/C ++ 言語を使用したベストプラクティスを提供します。MPP WGはNXP SemiconductorsのRob OshanaとCriticalBlueのDavid Stewartが議長を務めました。

 

ダウンロード
●MPP Guide
MulticoreProgrammingPractices.pdf
PDFファイル 2.9 MB

なお、EMCではMPP Guideを翻訳し、公開しています。Downloadsご参照ください。

 

 

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●SHIM V1.0

 

 2015年にSoftware-Hardware Interface for Multi-Many-Core (SHIM) ワーキンググループは、ソフトウェア設計に役立つアーキテクチャ記述標準を定義する仕様をリリースしました。SHIMにはいくつかのアーキテクチャ機能が記述されます。例えば、プロセッサコア、アクセラレータ、キャッシュ、およびコア間通信チャネルを含むハードウェアトポロジが、いくつかの選択された要素の詳細と共に記述されます。また、命令、メモリ、および通信に関する性能情報も記述されます。SHIM WGはeSOLの権藤正樹が議長を務めました。

 

なお、SHIM 2.0はIEEEからIEEE 2804-2019として標準化されています。

https://standards.ieee.org/standard/2804-2019.html (referred on June 9, 2021). 

ダウンロード
●SHIM V1.0 Specification
SHIM_1.0.pdf
PDFファイル 3.2 MB
ダウンロード
●SHIM V1.0 仕様書(日本語版)
SHIM-1.0.0-JP3.pdf
PDFファイル 2.3 MB