IEEE規格化

Subject: Embedded Multicore Consortium News 2020-02-27    本コンソーシアムが推進するハードウェア記述標準仕様SHIMがIEEE Std 2804として発行

 

  会長の枝廣です。こんにちは。今回は嬉しいお知らせをお届けしたいと思います。

  

米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers 以下IEEE)において昨年2月に設置されたソフトウェア視点のハードウェア・アーキテクチャ記述に関する標準化を行うワーキンググループ(正式名称:IEEE Computer Society/Design Automation/Software-Hardware Interface for Multi-many-core Working Group以下:IEEE C/DA/SHIM WG)の最初の成果として、SHIMIEEE Std 2804-2019として発行されたことを発表しました。

  

組込みマルチコアコンソーシアムもこのWGに参画しており、副会長のイーソル社の権藤氏がチェア、埼玉大学の安積先生がセクレタリを務めています。ワーキンググループ発足からわずか1年以内の規格発行というIEEEにおいては異例ともいえるスピードで国際標準規格が成立しました。

 

IEEE C/DA/SHIM WG は、IEEEにある計39の分科会のうちのひとつComputer SocietyDesign Automationにおいて、ソフトウェア視点のハードウェア・アーキテクチャ記述に関する標準化を行うワーキンググループとして20192月に発足しました。

 

このワーキンググループは、マルチ・メニーコアのソフトウェア・ハードウェア インターフェース(Software-Hardware Interface for Multi-many-core  以下:SHIM)をソフトウェア設計の観点からアーキテクチャの記述標準を定義し、マルチ・メニーコア ツールを有効にするための重要なハードウェア プロパティを抽象化するXMLスキーマを提供します。

  このXMLインターフェースは、新しいマルチ・メニーコア ハードウェアをサポートするためのコストを削減することに役立ちます。

  これにより、新しい革新的なマルチ・メニーコア ツールの開発が促進され、マルチ・メニーコア技術のエコシステムの実現が期待されます。

 

 現在のツール開発では、各ツールはターゲットハードウェアごとの対応が必要であり、多様なアーキテクチャが現れるマルチ・メニーコア時代に向け、対応コストが大きな課題になると予想されています。SHIMが普及し、下図のように、ソフトウェアで必要とするハードウェア特徴項目がSHIMで記述されれば、ツールはSHIMに対応するのみで多くのハードウェアに対応でき、コスト削減につながります。

 

 

現時点で既にIEEE Std 2804を使用するツールには名古屋大学で研究を、本コンソーシアムでも成果を開示並びに技術検討を行っているモデルベース並列化技術MBP並びにイーソルの商用バージョンとなるeMBP、さらにはドイツSilexica社のSLXなどがあります。

  IEEE Std 2804に対応することにより、各チップベンダの新たなマルチ・メニーコアチップへのこれらツールの対応が迅速に行えます。

  

本コンソーシアムでは、今後も同SHIM委員会とMBP委員会で連携を進めながら、更なる産業への貢献を図るべく活動を推進していきます。

 

これからもEMCをご支援いただきますようお願い申し上げます。

 

 

組込みマルチコアコンソーシアム会長

枝廣 正人(名古屋大学大学院情報学研究科)